こんにちは、中小企業診断士(登録予定)のヨシローです。
2024年7月の実務補習に参加しました。初めての実務補習に向けた準備から、当日の流れ、そして実際に補習を受けた感想まで、具体亭に振り返っていきます。
実務補習で実際の体験から得た気づきや大変だったことを赤裸々に綴りましたので。これから補習を受ける方の参考になれば幸いです。
準備期間:実務補習の開始4~5日前
まずは、実務補習の始まる前の準備期間です。実務補習では、4~5日前に指導員の方から受講生に対して連絡があり、事前情報の共有や担当の割り振りなどを行います。
実務補習を充実した内容にするためには、この事前準備がとても重要になります。
担当分野の割り振り
実務補習では対象企業に対して複数の分野から総花的な提案を行います。実際のコンサルティングの場では、経営者が困っている特定分野について、提言することが多いそうなので、総花的な提案は実務補習の特徴の一つですね。
よくある分野としては、経営戦略、財務会計、営業・販売、人事などがあり、指導員が対象企業にあわせて毎回5~6程度の分野を設定します。基本的には、1人1分野を担当して、対象企業の現状分析を踏まえ何かしら提言します。
この分野については立候補できますので、指導員から連絡のあった分野でやってみたいものがあればぜひ立候補するといいと思います。
私の場合は、いきなり言われてもどれをやればいいかわからず、、、という状況でした。希望がなかったので指導員に割り振っていただき、担当は”Webマーケティング”になりました。
事前の準備
関東での実務補習では金曜日から始まり、当日の昼~夕方に中小企業の経営者の方にヒアリングすることが多いです。ヒアリングでは企業の状況を色々と伺いますが、その場でいきなり質問することは難しいので準備を進めます。
今回の実務補習では、始まる前に大きく2つの事前準備をしてから挑みました。
企業の概要
まずは企業の概要について、Webを用いて調査しました。具体的には、会社の事業内容、創業時期・経緯、代表の経歴・想いなどです。
2次試験でも重要ですが、実務補習の提言においても、社長の想いに寄り添った提案をするため、特に社長の想いはよく見ておくといいと思います。
※なお、直接企業への問い合わせは禁じられているので、あくまでWeb等の一般的な情報の取得に留める必要があります。
企業の概要について調べ終わったら、次に外部環境分析を実施しました。様々な外部環境(少子化、地域過疎化、円安)などにより、業界全体や訪問企業にどのような影響を与えているか調査しました。
また、余力があれば業種別審査辞典を一読することをおすすめします。この本では、その業界の動向や経営する上で重要なポイント、業界の平均や黒字企業の財務諸表、関連法令などを確認することができます。
お近くの比較的大きい図書館に置かれているので、検索の上ぜひ一読ください。
担当分野の勉強
今回、私はWebマーケティングの担当になりましたが、本業は製造業なので正直あまり詳しくないです。。。そこで、実務補習が始まる前に、Webマーケティング関連の本を数冊読みました。
YouTube、X、Instagramなど色々と種類がありますが、何をどうやって使うのか?といった、基本的なことから確認していきました。特にInstagramは、飲食店でよく使用しているイメージでしたので、特化した本も使いで読みました。
対象企業に対する具体的な提案にあたり、各SNSの使い分けや対象企業に合った運用方法を提案しましたので、事前にしっかり準備しておいてよかったですね。
前半戦:実務補習1~2日目
まずは前半として、実務補習1~2日目について記載します。
今回の実務補習は、指導教員、副指導員が各1名、実務補習の受講生が6名の計8名で実施されました。
今回の受講生メンバーは30代が2名(うち一人が私)、40代が2名、50代が2名という年齢でした。大体いつもこのように年齢層がばらけているそうですね。
私は30代で一般社員ですが、普段の業務では50代の方々と関わることはあまりないです。こういった幅広い年齢の方々と同じチームで一つの目標に向かって取り組むことは、コミュニケーション能力や考え方など非常に良い経験になりました。
1日目
1日目のメインは対象企業へのヒアリングです。基本的には午後にヒアリングを行うため、午前中にその準備を行います。
今回は、実務補習を受講した方が少なかったため、午前の最初に実務補習のゴール=成果物の確認を行いました。全員で90ページ前後、一人当たり15ページと聞いて、ちゃんと提出できるかな・・・と大変不安に思いましたね。
その後、指導員からの対象企業の説明、指導員の方々+受講生の自己紹介と続き、午前最後に企業への質問内容を全員で考えました。
全員で昼食を食べて、午後から対象企業に訪問して実際にヒアリングを行いました。ヒアリングは各担当分野ごとに質問をしていく形式でした。
経営者の方は気さくな方でなんでも答えていただけたので、細かな部分までお話を伺うことができました。
2日目
2日目は、昨日のヒアリングした内容をもとに、班長を中心に提案の方向性(=骨子)を固めていきます。
この2日目でしっかりと方向性を定められないと、3日目までの平日の間に作業ができず、直前に猛スピードで資料を作成しなければなりません。。。5日間のうち最も重要な一日になります!
具体的な内容としては、まずヒアリング内容をもとにSWOT分析+クロスSWOTを行い、外部・内部環境を整理しました。今回は分析結果より不安なポイントを確認しつつ、事業者様より伺った新体制に向けた課題解決に向けた施策について、どのように進めるか全員で議論しました。
(実務補習で伺う事業者様では、今回のように具体的な課題がある場合は、その課題解決を中心に提案を行うようですが、課題がない事業者様もいらっしゃるようです。)
後半戦:実務補習3~5日目
前半の実務補習1・2日目後、平日で各自担当分野の資料を作成した上で、後半の実務補習3~5日目に移ります。最終日には事業者様への提案もありますので、全員の担当分野を1つの報告内容(書)にまとめ上げる必要があります。
3日目
平日の間に各自担当分野の資料を作成した上で、3日目に打ち合わせを行います。
午前中に各自の進捗状況を説明し、他分野と提案内容にずれがある場合には、このタイミングですり合わせを行います。今回の実務補習では、各担当分野であまりずれはなかったので、概ね進捗状況の報告で終了しました。
このタイミングで内容としての完成度は8~9割程度でしたが、班員の方々はバラツキがあり5割の方もいれば、ほぼ完成している方もいらっしゃいました。ただ5割だと資料作成時間が全然ないため、3日目で集まるときには個人でできる部分をほぼ完成した状態が理想ですね。
私たちの班はほぼすり合わせが不要でしたので、午後は各自担当分野の資料作成に当てることができました。私はこの日中に資料内容をほぼ完成できましたので、帰宅後はゆっくりできました。
4日目
4日目では、3日目で完成した資料のマージ作業になります。各担当分野の資料を一つの報告書にまとめます。
最初はまとめるだけならすぐ終わるかなーと思っていましたが、浅はかな考えでした。例えば、
- 見出しのフォント
- 図表番号の書き方
- 令和 or 西暦表記
- 事業者様の書き方
- 漢字の閉じ開きと(~の通り or ~のとおり)
など、各担当分野で書き方に違いあるので、全てを統一しなければなりません。また、マージにより図表やフォント等が崩れることもあります。
今回の実務補習では、11時まで各担当分野の内容を作成完了し、マージ作業に残り全ての時間を費やしました。なんとか印刷まで終えることができましたので良かった。他のグループでは5日目の朝までかかるところもあると聞きました。。。
5日目
最終日の5日目では、いよいよ事業者様に課題解決に向けた提案します。
実務補習が3回目の方は、実務補習の修了式みたいなものに出席しなければならないので、基本的に4日目までに資料作成を完了する必要があります。5日目は事業者様へのプレゼン前では、プレゼン練習ぐらいしか正直やることがありませんね。
事業者様へのプレゼンでは、まず全体戦略を班長から話した上で、パートごとに実際の施策について説明していきます。全体で2時間程度で、各パート20分程度の持ち時間で話しました。
話している途中で事業者様から質問も飛んできて、少しドキッとしたところもありましたが、概ね滞りなく提案をすることができました。説明中にある程度食いついてもらえたので、今回の提案で何か事業者様に持ち帰ってもらえれば嬉しいなと思いました。
感想:実務補習を終えて
はじめての実務補習を終えて備忘録として、簡単に感想を書きたいと思います。
良かったこと
まずはポジティブな内容として、大きく4つあります。
診断士の仕事をイメージできた
今回の実務補習でどういった流れで診断士のコンサル業務を行うのかイメージできました。
普段は製造業の研究開発業務を行っているので、診断士のコンサル業務は完全に畑違いです。2次試験に合格はしたものの、実務については右も左もわからない状況でしたので、このような機会があったことが本当によかったなと思いました。
ただし、指導員の方のお話では、実務補習はコンサル業務をする上で必要最低限のの内容とのことでした。今回の実務補習を踏まえ、より深く知識を蓄え、実際の現場に出て実践を積んでいきたいと思いました。
中小企業と大企業の違いを認識できた
現状は大企業で働いていますが、ヒト・モノ・カネ・情報が潤沢にあることを痛感しました。。
何もやるにしても、経営資源がないですし、全体的に整理もされていないような感じでした。大企業では色々な社内ルールやシステムによって、働きやすくなっているんだなとよく理解できました。
いま働いている環境に感謝するとともに、診断士のコンサル業務としては、経営資源が少ない中で、知恵を絞って生存戦略を考え抜かないといけないなと感じました。
そういった意味で、国の補助金や助成金、中小企業向けの低価格の業務効率化システムなどをよく勉強しなければならないなと思いました。
普段関わらない方々と一緒に取り組めた
冒頭述べたとおりですが、普段関わらない幅広い年齢層、業種、職種の方とともに取り組めましたので、話し方や議論の進め方など大変参考になりました。
また、私自身が外部の方々と比較して、どこまでできるのか?という位置づけも把握できたこともいい機会でした。
指導員から診断士業務のコツを教わることができた
今回の指導員の方はコンサルの”考え方”を大事にされておりました。提案を練り上げていく段階で、何回もどのように考えるべきかを教えていただけました。
一人で診断士のコンサル業務をする際には、このように指導いただく人はいないので、本当に有難い機会でしたね。
大変だったこと
良かったことは多くありましたが、一方で大変だったこともありました。。
会社を休まなければならない
最も大変だったことは、事業者様への訪問日と提案する最終日は平日になりますので、会社を休まなければなりません。
しかも、2週間程度で2日間も休むので本業の仕事が上手く進まなくて結構大変でした。
実務補習中は休める時間が少ない
平日の休み分の仕事を挽回するために、多少残業しようかなと思っても、実務補習の資料作成もしなければなりません。
その結果、普段より残業しつつ帰宅後に実務補習の資料を作成していたので、あまり休む時間がなかったです。
もし可能であれば、仕事の閑散時期に実務補習を申し込むことや、上手くお盆休みの時間を活用して実務補習を受けることをおすすめします!
まとめ
はじめて受けた実務補習は、大変な部分もありましたが大変多くのことを学べました。実務補習を受けるか悩んでいる方は、ぜひ一度は実務補習を受けることおすすめします。
今後は実務補習で学んだことを生かして、少しずつ実務をこなしていけたらなと思っています。
実際に実務をやり始めたら、中小企業診断士試験、実務補習との乖離についても綴っていけたらと思います。それでは、また次回をお楽しみに。
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