中小企業診断士の2次試験受験者の皆さん、こんにちは。企業内診断士のヨシローです。
2次試験は1次試験とは全く異なる性質を持ち、多くの受験者が苦戦するポイントです。膨大な知識を実践的な問題解決に応用する能力が問われるため、効果的な学習方法と適切な教材選びが合格への鍵となります。
そこで今回は、実際にストレート合格を果たした私の経験や同期合格者の声を元に、評価の高いテキスト・問題集を紹介します。
本記事では、総合対策本から事例Ⅳの専門書まで、幅広くカバーしています。また、単に書籍を列挙するだけでなく、それぞれの教材がなぜ効果的だったのかについても、解説していきます。
2次試験突破への道のりは決して平坦ではありませんが、適切な教材と効果的な学習方法があれば、必ず道は開けます。この記事が、皆さんの合格への一助となれば幸いです。
1次試験と2次試験の違い
はじめに、2次試験に初めて挑戦される方へ向けて、1次試験と2次試験の違いを説明します。
中小企業診断士試験は、1次試験と2次試験で大きく性質が異なります。この違いを理解することが、効果的な試験対策の第一歩となります。
1次試験 | 2次試験 | |
---|---|---|
科目数 | 7科目 | 4事例 |
解答形式 | マーク式 | 記述式 |
時間の余裕 | 時間内に終わる | 時間が足りず、時間管理が重要 |
公式の答え | 公開 | 非公開 |
内容 | 基本的な知識の確認する基礎問題 | 基礎知識を活用した応用問題 |
1次試験では、幅広い分野の知識を身につけ、正確に答えを選択する能力が重要です。一方、2次試験では、習得した知識を経営コンサルタントとして実際の現場に当てはめ、限られた時間内で的確な分析と提案を行う能力が試されます。各変更点について、より詳細に説明します。
解答形式
2次試験では100字前後の記述式になります。1次試験のように分からなくても解答をとりあえずマークしておく、、、ということもできません。
また、与えられた情報を素早く理解し、適切な知識を選択・応用して、与件文に沿った解答を作成します。単なる暗記では太刀打ちできず、各知識をきちんと理解した上で、与件文に応じて使いこなす必要があります。
時間の余裕
2次試験は各事例80分の試験です。それなりに時間があるように感じますが、実際に解いてみると試験本番を含めて毎回時間ぎりぎりでした。
2次試験の最も時間を要する部分は解答作成です。与件文から必要な情報を取捨選択し、指定された文字数(100字など)に落とし込む部分が慣れていないと時間がかかります。
公式の答え
2次試験の勉強を進めるにあたり、最もやりにくい部分は中小企業診断協会公式の解答が明かされていないことです。
「どのように解答すると加点・減点されるのか?」が明示されていないため、適切な教材を使って演習とその復習を正しく行うことが必要です。
2次試験は1次試験に比べ難易度が高いですが、適切な教材と効果的な勉強方法を行うことが合格への近道です。まずは教材選びを間違いないようにしましょう。
私は1次試験合格から2次試験勉強方法を調べました。
何からやっていいかわからず、調査に1週間使ってしまいました。。。
ぜひ、合格者のやり方を真似て、すぐに色々と試してみてください。
2次試験用テキスト
まずは、2次試験の概要を掴むために必要なテキストを紹介します。
「まとめシート」流!ゼロから始める2次対策
野網さん著書の「まとめシート」シリーズの2次試験用テキストです。
2次試験をはじめて取り組まれる方が試験の全体像掴んだり、基本的な内容を確認するのにおすすめです。特に、独学の方では知る機会が少ない試験の鉄則や解答の「お作法」についても詳しく解説されています。
本書の特徴
- 初学者向けの基礎的な解説:2次試験の全体像と重要なポイントに絞り、初学者が2次試験の概要を掴みやすい内容
- 実践的な解法:2次試験の解き方や設問の解釈、解答メモの作成方法などの実践的なテクニックを解説
- 見やすいレイアウト:写真・イラストや図表を多用し、視覚的に見やすく・覚えやすい構成
本書はKindleでも読めるので、通勤の時間などスキマ時間に読めます。まずは、2次試験の入門テキストとして、さくっと読まれるといいかなと思います。
TBC 中小企業診断士試験シリーズ 速習2次試験対策事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ
この本は、元試験委員のアドバイスをもとに取り入れられた2次試験対策本です。
2次試験の概要、最近の出題傾向を解説し、試験委員の目線から問題を読み解きます。また、2次試験を解くためのTBCメソッドである「具体→抽象→具体」などの解答プロセスを紹介しています。
現在の勉強に行き詰っている方や、様々な解き方を知りたい方におすすめのテキストです。
本書の特徴
- TBCメソッドによる体系的な学習:元試験委員のアドバイスを取り入れた独自のTBCメソッド
- 抽象化ブロックシート:過去22年間の必須知識を凝縮した知識の整理と定着を助ける強力なツール
- 豊富な過去問分析:事例問題の特徴を徹底分析し、効果的な攻略法を解説
- 無料講義付き:書籍だけでなく、プロ講師による無料講義が視聴可能
個人的には、抽象化ブロックシートが大変参考になりました。
シートの内容を理解+暗記し使いこなせるようになれば、与件文や設問文に記載の具体的な内容から、抽象度を上げて「大枠を抑え、関連知識を思いつく」ことができます。
私はシートだけ切り取り、スキマ時間に何度も繰り返して見ることで、1次試験の知識を2次試験で使えるようになりました。
「なんとなく1次試験の内容を覚えているけど、2次試験になるとうまく出てこない」や「問題文の関連知識が出てこない、整理できていない」など、悩んでいる方はぜひ一度手に取ってみてください。
中小企業診断士2次試験 解き方の黄金手順
この本は具体的な「2次試験の解き方」に焦点を当てた、実践的かつ効果的な一冊です。同期合格者に聞いてみると、多くの合格者が使用していたテキストですね。
本書では、2次試験の特徴を押さえつつ、安定して合格点を取るための勉強法を紹介します。その上で、2次試験における解答の作成手順と過去問を用いた具体的なプロセスについて紹介しています。
本書の特徴
- 体系的な解答作成プロセス:著者が長年の指導経験から編み出した「黄金手順」を詳細に解説。問題文の読み方から解答構成、文章化まで、段階的に学べる構成。
- 実践的なアプローチ:実際の試験問題を使用し、「黄金手順」の適用方法を具体的に示しています。
- 2次試験の勉強法:2次試験において安定して高得点を取るための勉強法を解説
2次試験用参考書
2次試験の概要が掴めましたら、すぐに過去問を使った演習に移りましょう。まずは実際に解いてみて、2次試験がどのような試験か身をもって体験しましょう。
演習の中で必要な参考書について紹介していきます。
ふぞろいシリーズ
ふぞろいシリーズは、中小企業診断士2次試験の対策本として長年支持されている人気シリーズです。これがないと2次試験の勉強が始まらないといっても過言ではありません。
最大の特徴は、実際の試験を受けた方々から提供された再現答案を徹底分析していることです。模範解答が公表されない2次試験において、合格レベルの答案を知ることができる貴重な資料です。毎年最新の試験情報を反映した新版が発売されるため、常に最新の傾向を把握できます。
本書の特徴
- 実際の合格答案にこだわった分析:得点につながるキーワードを抽出、合否の分かれ目」を徹底分析
- 豊富なデータと情報:数100名の再現答案を分析、「10年データブック」も発売
- 実践的な内容:合格者の勉強法や当日の思考・行動を紹介、過去問との比較や1次試験の知識の活用方法を解説
この本の特に重要なポイントは、単なる解答例ではなく、なぜそのキーワードが必要なのか(または不要なのか)という分析が含まれています。
「過去問を解く→本書の分析と比較して自己採点を行う→考え方や足りない知識を補う」というのが、2次試験の基本的な勉強になりますので、絶対に購入してください。
なお、ふぞろいシリーズは大きく3種類あり、内容の違いはこちらをご参考ください。
個人的には、基本は直近5~7年分のふぞろいな答案分析(販売されていない直近年度は、ふぞろいな合格答案)を購入すればOKだと思います。
中小企業診断士2次試験 事例IVの全知識&全ノウハウ
事例Ⅳに特化した本で、特に財務・会計分野に不安を感じている受験生にとって心強い味方です。
本書では、重要度に応じた優先順位付けにより、限られた時間で効果的に学習できます。また、過去問を解きながら演習していくので、実際の試験に近い形で練習できます。
本書の特徴
- 包括的な内容:経営分析、損益分岐点分析、意思決定会計など、事例IVの主要テーマを網羅
- 効率的な学習設計:過去問をテーマ別に編集し、出題頻度の高い重要テーマから優先的に学習できる構成
- 実践的なアプローチ:各テーマごとに「知識・ノウハウ」と「過去問」のセクションがあり、理論と実践のバランスに優れる内容
まず序章の「本書の使い方」を熟読し、効果的な学習方法を理解しましょう。その後、各章の「知識・ノウハウ」セクションで基礎を固めた後、「過去問」セクションで演習します。苦手なテーマや頻出テーマを中心に、何度も繰り返し学習することで、合格点までレベルアップできます。
私は最後に紹介する「30日完成! 事例IV合格点突破計算問題集」の後に、本書のA・B問題をひたすら解いていました。
本番では、計算ミスをして点数を落としつつも65点取れました。
中小企業診断士 2次試験合格者の頭の中にあった全知識 ・全ノウハウ
上述の全知識・全ノウハウは事例Ⅳに特化した本でした。事例Ⅳだけでなく、全ての事例を網羅している本が欲しい方は、こちらの購入も検討ください。
演習を中心とした学習を進める中で、常に手元に置いておきたい強力な味方です。知識の抜け漏れをなくし、効率的に学習を進めたい方に最適です。知識の確認から体系的な理解まで、幅広くサポートしてくれる心強い1冊です。
2次試験用問題集
基本的には過去問を使った演習がベースでいいですが、事例Ⅳが苦手な方はいきなり過去問を解くとハードルが高いです。
1次試験と2次試験を繋ぐ、ステップアップするための問題集を紹介します。
30日完成! 事例IV合格点突破計算問題集
中小企業診断士2次試験の事例Ⅳ対策に最適な問題集をご紹介します。『30日完成! 事例IV合格点突破計算問題集』は、特に事例Ⅳが苦手な方にお勧めの教材です。
本書の特徴
- 基礎に重点:過去問に取り組む前の基礎固めに最適な問題を収録
- 苦手克服:事例Ⅳに苦手意識がある方でも、段階的に実力をつけられる構成
- 計算力強化:事例Ⅳで重要な計算スキルを重点的に鍛えられる
- 理解度向上:詳細な解説付きで、苦手分野の理解を深められます。
事例Ⅳに不安がある方、基礎からしっかり固めたい方にとって、過去問学習の前に取り組むべき理想的な問題集です。本書を通じて、事例Ⅳへの苦手意識を払拭した上で、過去問に取り組みましょう。
ちなみに、「30日間完成」と書いてありますが、腹落ちするまで何度も復習していたら、2ヶ月ぐらいかかりました。。
皆さんそれぐらいの進捗なので、急いで解かずに理解することを重要視してください。
まとめ
今回は中小企業診断士2次試験のおすすめテキスト・問題集について紹介しました。
2次試験は1次試験と大きく異なり、勉強方法を大きく変えていく必要があります。一方で、1次試験からは時間が3ヶ月程度と短く、効率的に勉強を進めていかなければなりません。
ぜひ、今回のテキスト・問題集を活用して2次試験の勉強を取り組んでみてください。また、上記以外にも、色々な勉強法やテキストがありますので、色々と試した上でご自身にあう勉強法を見つけてください。
2次試験まで期間は短いですが、合格に向け勉強頑張ってください!
コメント